学会案内

専門日本語教育学会の概要

   当学会の目的は、専門日本語教育に関する学際的な研究の推進、専門日本語教育の研究・教育の発展、ならびに会員相互の連携に貢献することです。

   本学会は、1993年から大阪大学留学生センター(当時)を中心に行われていた「専門日本語教育研究会」から発展し2005年に「学会」となったもので、会員数は192名(2020年度現在)です。日本語教育関係者だけでなく、理工学系や社会学系の研究者・教育者、特定の専門職の実務家や教育担当者など、さまざまな分野の人々が集っています。議論の対象も、大学など教育現場で必要とされる学術的日本語の研究や教育方法だけでなく、法律、ビジネス、医療保健など、種々の現場で用いられる日本語やその教育方法にまで広がっています。

   学会の中心的活動は、会誌『専門日本語教育研究』の発行(年一度)と「研究討論会」(年一度)です。学会誌の編集委員会は、厳しいけれども懇切丁寧な対応を行うことがすでに伝統となっています。匿名性を確保して厳正な審査を行うことはもちろんですが、掲載に至るまでには、背景を異にする複数の査読者が真摯に意見を述べ執筆者がそれに応える過程を一再ならず繰り返します。これほど丁寧なやりとりが行われる学会は、そう多くはないと思います。惜しくも掲載に至らないという評価を受けた投稿へも、次につながる示唆が必ず提供されます。論文投稿経験の浅い人はもちろん、他所で書く経験を積んでいる人も、本誌への投稿は必ず新たな飛躍へとつながるはずです。研究討論会では、儀礼的議論の極めて少ない、厳しくかつ温かいやりとりが毎回繰り広げられます。終了後に行われる懇親会も、関心を同じくする人と濃密な議論を楽しむことができる充実した時間となることは間違いありません。学会誌は2011年からwebで読むことができるようになりました(「学会誌: 電子ジャーナル公開」)。過去の研究討論会の様子もHPに掲載してあります(「研究討論会の歩み」)。どうぞ、ご覧ください。

   本学会は、新たな出会いを心から歓迎します。専門日本語に関心のある方、研究討論会への参加、会誌への投稿をしてみようとお思いの方は、まずHPの「入会案内・会則」にアクセスして入会手続きをおとりください。

会長挨拶

石黒圭(国立国語研究所)

2024年度より、会長という重責を村岡貴子先生より引き継ぎました石黒圭と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

これまで、専門日本語教育学会(以下、STJE)の会長を務めてこられた先生方は、いずれも専門日本語教育学会の草創期から学会の運営に携わってこられた方々ですが、私自身はそうした歴史を深くは知らない者です。その意味で、STJEも第二世代に入ったと言えるのかもしれません。もちろん、STJEのこれまでの歩みについて、私自身も多くの先達に学ぶ必要があると感じていますが、知らない者の強みもまたあるように感じています。STJEの第二期の新たな歩みを会員のみなさまと作っていけたらと願っています。

学会にとって基本となる活動は、大会(研究討論会)の開催と学会誌の刊行です。先月(2024年3月)、立命館大学いばらきキャンパスで研究討論会が開催されましたが、この第26回大会の発表件数が26件(口頭発表6件、ポスター発表20件)でした。第21回大会が14件、第22回大会が12件、第23回大会が7件、第24回大会が7件、第25回大会が10件だったことを考えると、急速なV字回復です。次回の開催が今から待ち遠しく感じられます。

また、学会誌『専門日本語教育研究』にも活気がみなぎっています。論文・報告・教材開発を含めた広義の投稿論文(依頼である寄稿・特集を除く)掲載本数は、第20号4本、第21号7本、第22号3本、第23号13本、第24号が10本、第25号が12本と、ここ3年ほどは二桁で安定しています。会員数200名前後の規模の学会で、これだけの大会発表者と論文投稿者を生みだせている学会はそうはありません。会員が積極的に参加する学会というのがSTJEの特長であり、とくに最近の傾向だと言えるでしょう。

STJEでつねに問題になるのは、「専門日本語」(Japanese for Specific Purposes)の定義です。『専門日本語教育研究』のバックナンバーを見ると、広義の学術日本語、ビジネス日本語が「専門日本語」の二大看板であることは論をまちませんが、生活者に必要な日本語が脚光を浴びているように、近年の「専門日本語」の裾野の広がりはこれに留まりません。とくに2023年に日本語教育機関認定法が施行されたことに伴い、「日本語教育機関の認定」「教員養成及び実践研修機関の登録」「国家資格のための日本語教員試験の実施」といった新制度が2024年度より稼働することになり、これによって「専門日本語」という概念もまた、再検討を求められることになりそうです。

他方、海外からのインバウンドの急拡大も私たちが日常生活で実感しているところです。観光日本語のみならず、「やさしい日本語」も「専門日本語」の一部として考えることも可能であり、今まで「難しい日本語」が対象になってきた「専門日本語」も、その定義が新たに問い直される時期にきていると感じます。

私自身は、2021年度から2023年度の3年間、『専門日本語教育研究』の編集委員長を務め、優秀な論文に贈る「論文賞」を作り、「教材開発」という新たな投稿カテゴリーを設け、会員に鮮度の高い専門図書を紹介する「書評」を始めました。このように、新しいことをやりたがるおっちょこちょいであり、関係各位にご迷惑をおかけしてしまうことを恐れるものの、できることは積極的にやっていく姿勢は持ちつづけたいと考えています。学会は、会員相互の協力のなかで築かれていくものです。どうぞみなさまの前向きなご意見・ご提案をお寄せいただければさいわいです。

事務局と役員

専門日本語教育学会事務局

宮島良子研究室
〒484-8504 愛知県犬山市内久保61-1 名古屋経済大学国際交流センター
TEL:0568-67-0511

E-mail:office-stje@kir.jp (送信時は全角@を半角に変えてお送りください)
(担当:宮島)

専門日本語教育学会の役員

会長
石黒圭(国立国語研究所)
代表幹事
生天目知美(東京海洋大学)
編集幹事
俵山雄司(名古屋大学)*
池田隆介(北九州市立大学)**、金孝卿(麗澤大学)**
青木優子(東京福祉大学)、伊集院郁子(東京外国語大学)
岩崎拓也(筑波大学)、太田亨(金沢大学)、桑原陽子(福井大学)
西谷まり(一橋大学)、福良直子(大阪大学)、舩橋瑞貴(早稲田大学)
堀一成(大阪大学)、松下達彦(国立国語研究所/総合研究大学院大学)
山元一晃(金城学院大学)、楊秀娥(中山大学)
※査読協力者(2024年度)必要に応じて要請
庶務幹事
近藤行人(名古屋外国語大学)、佐々木良造(静岡大学)
田中啓行(中央学院大学)、張未未(東京大学)、宮島良子(名古屋経済大学)
三谷彩華(江戸川大学)
研究討論会実行委員
三谷彩華(江戸川大学)***

*編集委員長、**編集副委員長、***実行委員長

歴代会長

2005年 専門日本語教育学会設立(前身は専門日本語教育研究会)

〜2005 大坪一夫
2006〜2008 古城紀雄
2009〜2011 仁科喜久子
2012〜2014 山崎信寿
2015〜2017 因京子
2018〜2020 深澤のぞみ
2021〜2023 村岡貴子

名誉会員

名誉会員は本学会の目的遂行に多大な貢献をした者に、幹事会の推薦を受け総会で承認を得て授与する称号です。

古城紀雄 (2015年3月授与、2006〜2008年度会長)
仁科喜久子(2015年3月授与、2009〜2011年度会長)
山崎信寿(2015年3月授与、2012〜2014年度会長)
因京子(2021年3月授与、2015〜2017年度会長)
深澤のぞみ(2024年3月授与、2018〜2020年度会長)

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